グルーミング編①
何故今回の値上げなのか、という事を書いていくより、順番を追った方が伝わりやすいと思ったので前置きが長くなると思いますが分けていきたいと思います!
下書きも異常な長さなので、また少し添削をしつつコピペしていきます。
「暴れ犬との出会い」
下積み時代。毎月ご利用の犬。真っ赤なスポーツカーに雑種の子を乗せて来る高そうな服を来た女性。
そのギャップもあり、相当可愛がってもらっているのだなとすぐに分かる程です。
その子は、2人が抑えて1人が作業をしないと飛びだして怪我の恐れのある程工程が嫌いな子でした。安全が最優先ですからね。
何度かやるうちに、「この子は死ぬまでに後何回この地獄を見るのだろうか。これだけ愛されているのに、自分のやり方は...」と疑問に思ってから無理を承知で1人でやらせてくださいと言ってみました。
先生の勇気あるイエスの返事に自分が今まで見てきた犬の性質から、「予測による嫌がり」が強いと見たのでいつも通りの手順を踏まずに、また、きちんと仕上げるという事もせずに(先生にバレないように)仕上げるのを繰り返しました。
それについて文字にする程でもない、というか長いので詳細は省きます笑。
6ヶ月、要は6回で、その子は普通の手順できちんと作業をしても大人しくやらせてくれる子になりました。
どうでしょうか?
これは、今も私が行っている事と同じです。
これはミソがあって、「オーナーがイエスと言ってくれたこと」
これは、大勢に囲まれる恐怖を一人にすることで緩和させようしたこと。
飛び出す危険性はあるものの、カットの際に保体をしていた自分は犬のどこを支えれば、力ずくではなく犬の行動を制限できるかを知っていたからです。
「工程を変える」
これは書いた通り、予測による嫌がりを減らすため。
とはいえ、テーブルの上でいきなりシャンプー剤を使って洗い始めたり、すすぎにシャワーを使わなかったりと、大掃除が必要だったり時間が異常にかかったりと大変なことです。
これによって得られるのが、何より犬の理解力により「この人は自分を苦しめようとしているわけではない」ということに繋がりました。
本当に犬に感謝です。
そのようなことを繰り返すうちに犬が心を許してくれて、きちんと綺麗にしてやれる工程でもやらせてくれるようになったというわけです。
私は今もこれをしていると言いましたが、当時と決定的に違う点があります。
それは「伝えるか伝えないか」
もちろん当時は雇われですから、私が何かしゃしゃり出ていくこともありませんでした。
今は自分の店であり、好きにできるので全てを伝えます。
「最初から綺麗にはしない」「それは必要なことだから料金は変わらないよ」
そうするとどうでしょう。
リピーターは極めて少ない。
「出来ないのに金をとる」と思われるので、仕方ないですね。
でも自分は隠す事での罪悪感に勝てるほど強い人間ではないので、全てをお伝えするしかありません。
きちんと事前に説明し、それでもなお「ありがとう。優しくしてくれたんだね」と言って、最後の言葉になるのです。
それでも、続けてくれている方のワンコには、着実に効果が見えています。
1歩進んで2歩下がる。
2歩進んで2歩下がる。
3歩進んで2歩下がる。
徹底的に犬の「嫌です!」に触れない所までを繰り返す。
慣れてきたら少しの負荷を与える代わりに、我慢できる所をいつもより進めない。
この繰り返しで、早い子で数回、長い子で年単位にはなりますが、苦しまないグルーミングをしてやれます。
これが、私の本当の意味でのグルーマーの原点です。
それを今、しっかりと見直して、強化して、ご理解をしていただいて、この店にしようということです。
ブラシが嫌いならバカみたいにゆっくり手を動かそう。
持たれるのが嫌いなら触ることに慣れてからにしよう。
今まで「我慢する」ことが当たりまえだったその子に、「苦しいものじゃないよ」を伝えるには時間が必要です。
犬を間近に見ているからこそ、苦しみを我慢する子には取り除いてやりたい。
お客さんの理解があって初めて成り立つので、ご協力をお願いしたいです。
本日はここまで。
ありがとうございます。